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その2 一応審査はするけれど
「なら知識でもいい。科学でも魔術でも数学でも技術でも何でもいい。この世界にとって有用だと認められるよう、知識を披露してくれ」
対象はにやりと嗤う。
自信があるらしい。
その自信が何処から来るのか俺は毎回不思議に思う。
今まで何十人、いや何十対象も面談したが有用な知識を持っていたのは一人だけ。
そのくせ誰もが自信ありげだった。
こいつも例外では無かったようだ。
「俺達の世界は進んでいるからな。空を飛べる飛行機という乗り物がある。また馬よりも遙かに早く走れる自動車という乗り物もある。他にも……」
はじまった。
いわゆる『あるある攻撃』だ。
それが一段落した後で、俺は彼に尋ねてみる。
「それでそれを知っていて何の役に立つのかな」
「それを作って世界に革命を起こす!」
おいおいおい。
色々突っ込みたいけれどまずは初歩的なところから始めよう。
「つまり君には飛行機なり自動車なりを作る能力があるというのだね」
「魔法があれば出来る。ただ今はまだ魔法の出し方がわからないが……」
つまり作れないという事だ。
でも俺は親切だ。
更に今後の矯正作業の都合もある。
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