第一話 入国管理局特別審査第一部門主任の場合 ~異世界召喚編

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 どうやら鉄鉱石から鉄を抽出しようと試みている模様。  うん、鉄鉱石は酸化鉄だという事がわかっていないな。  分子組替なり原子集合なり魔法を使えば単なる純鉄を取り出すのは簡単なのだが。 「分子なり加工法なりを思い浮かべればちゃんと形になるはずだぞ」 「煩い、俺はこの魔法に不慣れなんだ!」  そりゃ俺の魔法だからな。  不慣れなのは当たり前だ。  でも見たところ鉄鉱石から鉄を取り出すのに必要な知識さえ無さそうだな。  よし、ここは少し助けてやろう。 「なら鉄鉱石から鉄のインゴットを取り出すところまではやってやろう。その後の成分調整や整形作業は自分でやれ」  俺の場合は鉄鉱石と木材を使う。  高熱をかけ、木材から取り出した炭素を反応させて酸素を奪い、鉄を取り出す。  勿論高熱は目的物だけにかかって赤外線の放射等は無い。  物理屋の魔法使いだと鉄鉱石から直接分子操作で鉄原子だけを取り出し金属結合させられるのだが、まあ結果は同じだからいいだろう。  そんな訳で約二千ガロ(1トン)の純鉄を四角い塊にして抽出させた。 「さあ、これでどうだ?」 「おう、ここからなら簡単だ」  本当にそうかな。  俺は口には出さずにそう思った。
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