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「いや、これは魔法が不完全なんだ。思い描いた物が出来ない魔法が悪いんだ!」
そう言っている対象の姿は虚勢を張っているようにしか見えない。
「ならこの世界で君の知識は役に立たないな。自動車という単語と曖昧な利用イメージだけで物を作れるような便利な魔法はこの世界にも無い。
さて、他に君が披露できるような有用な知識はあるかな」
対象はまた少し希望を取り戻したように見えた。
「当然だ。俺はより進んだ世界から来たのだからな」
「ならペーパーテストを用意しよう。ちゃんと君のわかる言語で書いてある。数式の表現なども注意して翻訳した。
歴史とか社会分野や言語分野は世界によって違うだろうから、ここは科学分野と数学等に科目を絞っておこう」
ちなみに内容は一次方程式、二次方程式、二次方程式でも積分でも求められる文章題、確率の問題、道別れの分岐数の問題、原子のイオン化傾向、力の分解だ。
ぶっちゃけこっちの中等教育を受けた者なら解ける程度。
でも案の定、対象は苦戦している様子だ。
「こんな記号は知らないぞ」
「わざわざ君の世界の記号にあわせてやったんだがな」
一次方程式二問を解いた段階で男の鉛筆は止まった。
おいおい、もう少しは粘ってくれよ。
「どうした」
「うるさい!思考の邪魔だ」
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