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「それじゃまたいつか...。」
そう言って振り返る背中が寂しそうだった。
15歳の春
咲は地元の高校に入学した。
頭はそんなにいい方では無かったし勉強が好きなわけでも無かった。ましてや仲のいい友達が行くというのだ。親にいい学校に入りなさいと言われても咲の中でのいい学校はここしかない。そんな謎の自信と誇りを胸に学校の門をくぐる。
とはいえ高校生になったという緊張感とバイトやら文化祭やら色々な期待を抱えながら教室に入った。
??「お!久しぶりだなー」
なんとも聞き覚えのある声がした。あいつだ。
咲はもう少し夢に浸っていたかったからシカトをした。
航平「おい笑なんで無視すんだよ笑」
こいつはいつもそうだ。私に対してはなんの遠慮もしてこない。何でって理由なんかないだろ。察しろバカ。
咲「はぁ。久しぶりー」
咲は聞こえるような大きなため息をつき棒読みな返事をした。
航平「何かメンツあんま変わってないよなー笑中学4年生って感じ?笑」
すげーつまんねえ。笑えねえよと咲は心で思いつつ「確かに笑」と返した。良いと思ったことは無い。まじで。
ただ一緒にいて疲れないのは確かだ。さっきも言ったが気は使わない。遠慮もしない。空気も読まない。そんなやつだが逆に女子のドロドロした中にいる私にとっては楽な存在だ。だから3年間で凄く仲良くなった。
友達だからたまに遊びに行ったりもするがそのせいで元カノに嫉妬されひどいめにあったこともある。
絵美「また咲と航平同じクラスなの?あたしだけ別かよ笑笑」
いわゆるイツメンって言える最後のピース。絵美が現れた。絵美とは小学生の頃からの付き合いだし家も近い。航平じゃなくて絵美と同じクラスが良かったなあ。
航平「何か咲が絵美と同じクラスが良かったっとばかりに冷たいんだけど笑笑」
クラスに響くほど大きな声で笑う。なんだこいついつからテレパシーが使えたんだ。
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