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「あ、あ……っ……んんっ」
下から突きあげられるうちに性急な奏音にもの申す気も失せてしまって、呼応するように夢中で腰をくねらせてしまう。
「星児。萎えてないじゃん。大丈夫だよ?」
ハアハア息を継ぎながら、奏音が嬉しそうにささやいてくる。その手が前に触れようと動いたのが視界の端に映ったから、直前で強く腰を落とした。それまでよりさらに奥へ、奏音がぴったりはまり込む。
「……あぁ……っ!」
瞬間、奏音が放ったのがわかった。作戦成功だ。オレが思わずほくそ笑むのを見て、奏音が肩で息をしながらぷくっと頬を膨らませる。
「あとちょっとで一緒にイけたのにぃ」
「させるか。オレだって挿れたいんだから、な」
油断した肩を押すと、その身体は簡単に後ろへ傾いた。
「う、わっ……!」
そのままベッドに仰向けに倒れた奏音の無防備なところから、白い液体を包み込んだゴムを引き抜いてゴミ箱へと放る。ついいましがたまでそれが挿入されていた箇所はじんじんと痺れたようで、異物が去ったいまでもまだ充分に主張している。それでも、その感覚を引き連れて飛び込むみたいに、奏音のなかにはいって溺れてしまいたいと思った。
「奏音。すぐ挿れてもいい?」
「なに……しかえし?」
「仕返しってなんだよ」
思わず吹いてしまうと、彼は転がったまま顔を覆い隠してしまった。
「え、奏音? また怒ってんの」
「……怒ってない」
ブスッとした表情が浮かんでくる声音で言うから、また笑いたくなってしまう。ぐっとこらえて、その両手を開かせる。ベッドに押しつけるようにした両手首は、反抗するでもなく静かにオレの手のなかに収まった。現れた顔は、怒っているというより恥ずかしがっているように見える。微妙に視線を逸らされた。
「どうした? ……やめる?」
「そうじゃないって」
「じゃあ、なに。なにが不満?」
「………………いい」
ボソッと落とすので、最後の音しかほぼ聞き取れなかった。奏音の上に乗り上げるようにして、かがみこんで耳を近づける。
「え。なに?」
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