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プロローグ
突き動かす衝動がなんなのか、オレにはぐちゃぐちゃ過ぎて最早拾いきれないから意味がわからない。
ただただ壊したかった。
彼のなかのオレが消えるのが許せなかったのだ。
呪いのような言葉を残して消えた彼には、ずっと呪われていて欲しかった。先に幸せになろうなんて許せない。オレがどれほどおまえに縛られてきたのかなんて、知ろうともしないで。オレがどれほどおまえに縛られ続けているのか、知りもしないで。
許せない。
おまえが呪われればいい。心を奪えないのならその身体だけでもいい。奪ってやる。そしてもっともっと苦しめばいいんだ。自分だけが傷ついたような顔をして、オレにすべての罪をなすりつけて消えた罪を思い知るがいい。傷ついたのは、決しておまえだけじゃない。オレを呪うなら、おまえが呪われろ。
「……あ……あぁっ……」
「声出すなよ」
鼻先に彼の熱い息吹を感じながら、上目遣いにグッと見上げて笑ってやる。トイレのひんやりとした空気を、彼が必死で保つ呼吸の音だけが微かに揺らしている。
「誰が聴いてるかわかんないよ」
「……せ、星児、や、やめ」
「黙れよ」
冷たく吐き出したその口で、彼の熱を秘めたそれを再び深く含んだ。
「……んっ……」
堪えきれない呻きが頭上から洩れ出す度に、聴覚が刺激されてオレまでゾクゾクする。そのゾクゾクをそのまま彼に返還してやろうと、ぐちゃぐちゃな感情のすべてをその行為にぶつけた。与えれば与えるだけ、口のなかで淫らに大きくなるのがわかる。堪えきれずに溢れるのがわかる。反応をダイレクトに感じながら、わざとじゅっと音を立てて吸いあげた。
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