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植え込みの向こうの様子を伺うと、散歩中の大型犬に飛びかかられた女子高生の姿。尻もちをつき、豪快にスカートがめくれあがった状態で大笑いしている。日に焼け引き締まったふくらはぎから隠されていた白い太もも。そして形のいい尻に目をやりかけたそのとき。
「浅間くん?」
突然の呼び声に驚き、ばっと振り返ると、また別の女子高生がこちらを見ていた。
小宮山かよだ。
チョコをくれたかも、なんて甘い想像をしていた彼女が半身引いてこちらを見ている。
それもそのはず、植え込みの隙間から女子高生のパンチラをのぞき込む男を通報しないでくれただけありがたい。
「あ、こ、これは!悲鳴が聞こえたから、大丈夫かなーって!」
「その前、子供のお母さんのときも凝視してたよね?」
「え、あ、その…見てたの?」
頷く彼女の手元を見つめると、何やら小さな箱が握りしめられている。
まさかあれこそ、小宮山のチョコレート?
「ごごごめん!」
「浅間くんのばか!」
小宮山は心底軽蔑した目を向けた後、チョコを園内のゴミ箱に放り捨てて去っていった。
オレは手元の箱に目を向け、大きなため息をついた。
どうやらこの箱の中には、「リボンを解くとラッキースケベが起きるが、好きな子に嫌われる魔法」が入っていたようだ。
うなだれるオレの肩を、2月の冷たい風が撫でていった。
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