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霊山の頂が、うっすらと白い光に包まれ、クヨウの姿が消えた。
レンカの足下には、美しい桜の金細工が朝日に眩く輝いていた。
二年後、十八歳になったレンカは婿を取る事もなく、「これより先、幽鬼を狩る必要は無い」と言い置いて姿を消した。
一族の者は疑い警戒し、暫く十六夜の見張りを続けたが、レンカの言ったとおり二度と幽鬼が出現する事は無かった。
ある者はレンカが名のある寺に出家したと噂し、ある者は鬼となった恋人と異界で幸せに暮らしていると噂したが、その真実は誰も確かめる術を持たなかった。
〔終〕
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