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何かをなさねばならない。
けれど、何をするべきなのか、わからないでいた。
ヒトより優れた動体視力を手に入れた今、小毬の頭を過ったのは「復讐」の二文字だった。
(私の行動が正しいとは思わない。けれど、正しいとか間違っているとか、そんなことはどうでもいいんだ)
何かしなければ。
その焦りは今、しっかりとした形になって、小毬を突き動かしている。
「きみにとって、私は悪役なんだろうね。けれど、私は新人種殲滅を許可したことを、後悔していない」
「それはあなたが命令する立場だから。彼らを血の通ったヒトだと思ってないから」
「新人種に真っ赤な血が通っていることは知ってるよ。言葉を話すから意志の疎通もできる。我々と同じように季節を感じ、悦びや悲しみの感情もある。彼らは元々ヒトであり、芳賀魔巌二によって新人種という人外の生き物にされてしまった。……けれど、そんな真実はいらないんだよ。世間に公表されれば、丹奔は世界から批難されるだろう。きみが思っている以上に、事は深刻なんだ。丹奔に幾つの企業があり、何億人が暮らしているか知ってるかな。蛮族の島国だと風評被害を受ければ、丹奔の未来は決して明るくない」
「だから、彼らを切り捨てたの?」
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