第九章 正義と、確固たる悪

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「死んだって? 行方不明なだけさ。……ワタシの秘密を教えてあげよう。特別にね」  紅三郎は、ふんぞり返るように胸を張る。  小毬はふらりと倒れそうになるのを踏ん張って堪え、紅三郎を睨みつけた。 「冗談はやめて。いくらなんでも、あなたは六十歳を超えてるように見えない」 「だから、それをこれから説明するんじゃないか。ワタシがわざわざ教えてあげようって言ってるんだ、甘受したほうがいい。芳賀魔巌二はここを追われたことは知ってるかい?」  紅三郎が目を眇める。瞳から微かに怒りが読み取れた。小毬は何も言わない。紅三郎は構わず話を続ける。 「ここを追われても、自分が残した研究をもとに、不老不死の研究を続けたんだ。費用も実験体もないワタシは――自らの身体を使って実験をした」  息を呑んで、とっさに呟く。 「トワと同じ、不老長寿になった、ってこと」     
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