33人が本棚に入れています
本棚に追加
/259ページ
「死んだって? 行方不明なだけさ。……ワタシの秘密を教えてあげよう。特別にね」
紅三郎は、ふんぞり返るように胸を張る。
小毬はふらりと倒れそうになるのを踏ん張って堪え、紅三郎を睨みつけた。
「冗談はやめて。いくらなんでも、あなたは六十歳を超えてるように見えない」
「だから、それをこれから説明するんじゃないか。ワタシがわざわざ教えてあげようって言ってるんだ、甘受したほうがいい。芳賀魔巌二はここを追われたことは知ってるかい?」
紅三郎が目を眇める。瞳から微かに怒りが読み取れた。小毬は何も言わない。紅三郎は構わず話を続ける。
「ここを追われても、自分が残した研究をもとに、不老不死の研究を続けたんだ。費用も実験体もないワタシは――自らの身体を使って実験をした」
息を呑んで、とっさに呟く。
「トワと同じ、不老長寿になった、ってこと」
最初のコメントを投稿しよう!