第二章

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 きっかけは一本の電話だった。  学校が終われば家に帰りゲームをして、夕食を食べ風呂に入って課題を軽くしてゲームをして寝る。そんな毎日でその日も例になくいつも通り課題を軽くこなしていた。  家の電話がけたたましくなり二階にある僕の部屋まで響く。パタパタ、と母親が小走りする音が続いた。いつも通り普段より高い母の声がする。おしゃべりな母はこのまま一時間話し込むこともある。何をそんなに話すことがあるのか、全く理解できない。しかし、この時間に電話は珍しい。現在十一時を過ぎたばかり。寝るには早いが家の電話に電話するには少し遅すぎる。なんとなく、変だな。なんて考えながら赤ペンを握ったときだった。  バタバタと母にしては珍しい足音を響かせ階段を上ってくる。なんだろう、と思い部屋の入口を見ていたら勢いよく母が飛び込んできた。 「お父さんが、事故にあったって・・」  いつもの明るい顔から笑顔が消えていた。  バクン、と心臓が嫌な音を立てる。  父さんが事故。
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