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「佳奈、ちょっといい?」
担任の田中先生にそう声をかけられ、ついて行った。
空き教室に入り、田中先生に尋ねる。
「なんですか?これから部活あるんで、早めに…お願いします。」
嘘だ。部活なんて行ってない。最近は友達とサボってカラオケとかで遊んでる。
「最近、宮崎となんかあったの?」
「瑠璃と?なにもないけど…なんでですか?てか、瑠璃ってインフルなんじゃないんですか?」
「…これ、他の人には言わないでね。宮崎が学校に精神的な面で来れないの。」
「そうなんですか。」
「うん、それで美術部で何かあったのかな?って思って…
ほら、前に言ってたじゃん。」
「…」
うざっ。関係ないんじゃないの?
なんで今更言うの?こうなったのって田中先生のせいでもあるのに。なんで全部、部活のせいにしようとしてるの?
「だとしたら?どうしたいんですか?」
「私に出来ることとか…あれば。」
「今更、何言ってるんですか?あるわけないじゃん。もう遅い。」
「佳奈?」
あー、わかってる。そんな顔しないで。分かってるから。先生のせいにしたって変わんないことぐらい。でも、どうすればいいのかわかんない。止まんない。
「先生があの時、ちゃんと話聞いてくれてれば、こんなことにならなかったんじゃないんですか?私は関係ない。そんなふうに言って。それで、不登校とか問題が表沙汰になるとこっちのせいみたいに言って。」
ハア、ハア…
「落ち着いて。」
「もう、帰ります。
失礼しました。」
そう言って、ダッシュで帰る。
1人になった途端、涙が零れそうになる。あんな風に責めるつもりはなかった。けど、言葉が止まんなくて…
先生のせいだけじゃない。私のせいでもある。だけど、怖くて…何も出来なかった。
誰か…助けて…
透明になることで逃げていた私。
でも、先生によって深く、もう戻れなくなるくらい濃い青色に染まってしまった気がした。
関わりたくなかったのに…
でも、変えたい。心のどこかでそう思ってた。だから色がついてしまった。そう思えた。
1人…誰を信じていいのか分からない。誰なら信じることができるの?誰なら…
わかんない。
色のなかった私には…
何も見えない振りしてた私には…
信じる。その言葉の本当の意味がわかんなかった。
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