ノアの方舟─終焉の音と翼無き熾天使─

ロウチャ

　……つまり言うと、巻き込み事故が起きたそれぞれの現場で、心寿さんとロウチャさんは同時に死んだ、そう言いたいってこと？
　そうなると偶然にも程があるよなぁ……なんて思いながらも、私はロウチャさんの言葉を待つ。
「で、死んだら二人一緒に、あの端くれに飛ばされてたんだい。ノアも飛ばされたでしょ？」
「あ、はい。天界の端くれ……ですよね」
「そうそう。そこでガブリエルに会って、案内されたんだい。天使長にも会って挨拶したんだい！」
「なるほどなるほど……え、その天使長は今いるんですか？」
「いるんじゃないかな？　今度訪ねてみなよ！」
「まぁ、はい……性別の方は？」
「女の方だよ！　すごい美人なんだよー！」
「へぇ……ガブリエルさんに言って会わせてもらわなきゃ」
　天使長……どんな人なんだろう。
　私の知っている天使長ルシファーは男の方だからなぁ……女の方となると少し珍しいと感じてしまう。
　そんなことを思っているうちにだんだんと眠くなり、フカフカすぎる椅子の上で眠りこけてしまった。