性別のこと

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「─────っ!?」  ここで目が覚めた。  見慣れない部屋だ。恐らくロウチャさんの部屋。のベッドに寝かされている。  息が荒い。起き上がり、呼吸を整えようと胸辺りを触る。 「…………うん?」  そこでようやく夢の記憶だったと理解する。と同時に、ある一つの違和感を感じる。 「…………まさか……」 「おぉー! よく眠れたー!?」  そのタイミングでロウチャさんが入ってきた。その手には真新しい服を抱えている。 「丁度服ができたからさぁー! 起こしに行こうと──」 「あの!!!!!」  荒々しい声を上げながらずいっとロウチャさんに詰め寄る。 「うわっおーう……?」などと変な声を発したロウチャさんは話を聞こうと少し距離を取り始める。 「……ど、どうしたんだい……?」 「天界に性別の有無ってありますか」 「へ、性別……?」  やがてロウチャさんは近くにある椅子に座り、うーんと考え出した。 「……うん、あるよ? そりゃもちろん」 「……ですよね、やっぱそうなりますよね……」  肩を落として項垂れる私。 「なんでだい?」 「ないんですよ」 「何が?」 「胸」 「…………おう? ちょっと失礼」  ぽふぽふと効果音が出そうな勢いで私の胸を服越しに触り「うん?」と物凄い疑問に満ちた一言を発した後、今度は自分の胸を触り始める。 「…………ノア、あんた性別は?」 「女。纏う事なき女」 「だよねぇ……やっぱそうだよねぇ……え? でも待てよ……」 「?」 「……あー……うん……うん……うん」  段々と声が小さくなるロウチャさんに疑問を持ち、思わず私は問いかける。 「どうしました?」 「……ノア、一旦この問題は置いておこう」 「え?」 「これは大変なことになってるなぁ……」  再びうーんと考え出すロウチャさん。  待って、めっちゃ気になるんだけど。 「……とりあえず! 服着よう! はいこれ!」 「わわっ……ありがとうございます……!」 「更衣室はあっちにあるから、着替え終わったらまたリビングに来てくれる?」 「はい、わかりました!」 「いいお返事だ! 樹寿はそういう子大好き!」
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