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天界の役所
「すみません、わざわざ泊まらせていただいて……」
次の日のお店前、私はお辞儀をしながら呟く。
ガブリエルさんはまだ帰ってこない。なにかあるのかな?
「いいってことよー! アタシも変わった子とお話が出来て嬉しかったんだい!」
「それであの……。ガブリエルさんにはどうお伝えしたら……」
「あ、そのことならアタシが伝えとくんだい! だからノアは安心して役所に行ってくればいいんだい!」
「あ、わかりました……それじゃあ」
「うんうん! 気をつけるんだい!」
もう一度お辞儀をして、ロウチャさんから貰った小さな地図を見る。
役所までの地図だ。結構簡略的に書かれているが、分からないと言うことはなさそうだ。
「役職ねぇ……」
ロウチャさんの言っていた『役職』のことが気になった。
昨日ご飯を振舞って貰った時に少し教わったが、この天界における役職というのは、まぁファンタジーでもある通りの『能力』というものらしくて、ここに来た時に備えつく能力はゲームで例えると『スキル』と同じ部類に入るそう。
ロウチャさんの場合、備えついた能力が偶然生前の職業に似て『服を作る役職』だったわけであって……。ロウチャさんのように、生前に関わる役職を手に入れることも多いそう。
「えーっと……ここを左……? ってか天界にも交差点ってあるんだ……」
車こそ走ってはいないものの、交差点があるとなると、少し不思議な感じがする。交差点って、車が走る為にあるようなものじゃないのかな?
「……あ、ここ?」
『役所』と書かれた大きな建物が目につく。
絶対ここだよね。役所って書いてあるもん。
見た感じ、正面に自動ドアがあって、中で忙しなく従業員が動いているところを見ると、日本の役所とそんなに変わらないかも……?
「よしよし……」
自動ドアの前に立ってみる。
……が、なぜか反応してくれない。ただそこに立っているだけの人みたいな感じ。
いや、羽根ないし、人みたいなものですけどね。
「……これもしかして、羽根が無いと開かないパターンのやつじゃ……」
多分的を得ているであろうこの考えはすぐに当たった。
「ねぇ、そこでなにしてんの?」
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