天界の役所

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 近くを通ったとある天使が不審に思ったのか、声をかけて来たから。  その天使が私に近づいた拍子に、自動ドアが開いたのだ。  私と自動ドアの距離は大体一メートルもない。なのに反応しないっておかしくない? 「え、あ……自動ドアが反応してくれなくて……」 「そりゃあ当たり前だよ。だって羽根ないじゃん」 「あ、やっぱりそうなります?」 「そうなる。……もしかして、来たばっかり? ピンないし、性別どっち?」 「女ですけど……」 「え、そうなの? 男にしか見えないんだけど……?」 「え? やっぱりそう思います? 無いし?」  胸あたりを指さして言うと、こくりと頷いて「無いし」と復唱してきた。 「……まぁいいや。俺はウォルナット。時間あるし、俺が手伝ってやろうか?」 「そうしてもらえると助かります……」 「頼まれた! よしやろう!」  自動ドアの前にウォルナットさんが立つ。  するとたちまち自動ドアは開き、気づいた従業員が「あの…少々よろしいでしょうか?」と驚きながら訪ねて来た。 「……もしかして、ウリエル様で合っていらっしゃいますでしょうか?」 「……うん? 何で私の名前を知っているんですか?」 「やはり……!! 少々お待ちください……!!」  パタパタと忙しなく持ち場に戻って、何かを作業している従業員。  ……いや、私何も知らされてないんですけど? 「……なぁ、あの人お前のことウリエルって言ってたけど……もしかしてウリエルってあのウリエルか?」 「もちろん、ユダヤのウリエルですよ……」 「なんでお前がそんな名前を持ってるんだ?」 「いや知りませんよ……ガブリエルさんから貰った名前ですし……」 「え、ガブリエルさんが? 珍しい事でもあるんだな……」 「??」  ウォルナットさんの言葉に困惑していると、「お待たせしました!」と駆け寄ってくるさっきの従業員が見えた。
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