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「まさかこんな所でレッド〇ルが飲めるとは……」
役所内にある休憩所で買った、翼をさずけるレッド〇ルをきゅぴきゅぴと可愛らしく飲んで、はぁーっと幸せそうに息をこぼす。
傍から見ればただの人間。かなりジロジロ見られている。光輪がついているのがなんとも幸運というか、なんというか。
「まさか全神者、かつ熾天使だったとは……。しかもミカエルとルシファーって兄弟じゃなかったっけ? それにルシファーって熾天使だったような……」
そう思っていても、私の心の中は複雑な感情が込み上げてきていた。
本当にこのまま、全神者として天界で生きていっていいのだろうか。私以外にも全神者になりたかった人だっていたはず、と。
とりあえず命が狙われないかが心配よね、うん。
「あ、いたいた! ノアー!!」
不意に聞き覚えのある声がして振り返ると、ガブリエルさんが走ってこちらに向かってきているのが目に見えた。
「ガブリエルさん!!」
「ひぃえ……久しぶりに走ったぁ……疲れた……」
息を荒くして膝をつくガブリエルさん。
とりあえず落ち着いてとジェスチャーを施し、まだ呼ばれていないため椅子に座って話を聞くことにする。
「それで、何でそんなに急いでるの?」
「えーっとね……天使長とちょっとお話してきたんだけども……」
「けども?」
「すげえお怒りだった」
「お怒りだったのねそれもしかして私のせい?」
「うーん……いいや、違うと思うなぁ」
珍しくぶかぶかの袖から手を出しているガブリエルさんは、顎に手を当てて何か考えている。
一体どんな話をしたのかがとても気になるが、それは私が聞くべきではないと思ったためにガブリエルさんが口を開くのを静かに待った。
「『死人が普通の死人として天使になったんだったらいいけど、その子元は人間でしょ? 検査でも受けない限り役職やら階級だってわからないし、地上に送り返せば?』って言われた」
「いやそれ半ば半分私嫌われてるやん」
って、役職?
「あ、あのー、役職と階級ならついさっき出たんですよ」
「本当かい!?」
「うん……身長も体重も不明なのに、それだけ出たんだよね……」
「それで結果は?」
「えーっと……」
……ここでは言いにくいかも。人多いし、知られたら厄介だよね。
なんて思っていたその時。
「番号札六六番、カウンターまでお越しください~」
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