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「……ところで、あなたは誰ですか?」
「僕? 僕はガブリエル。本来はここの案内人じゃないんだけど、今日は変わった子が送られてくるって言う地獄からの連絡があったからさぁ……」
「ガブリエルって……あのガブリエル? 三大天使の?」
「どこのガブリエルのことを言ってるの?」
「キリスト教のガブリエルですけど……」
「あえー? 君はキリスト教信者なのかいー?」
「違いますよ?」
「あえー?」
「あえー?」
話が噛み合っていない。やばい、進まない。
どうしたらいいんだろうか。
「……えーっと、とにかく……あのエスカレーターを上がれば、羽が生えたり、天使の輪っかが出たりするの?」
「いや違うよ?」
「は?」
「通常は、ここに来た時点で、天使としての特徴が出るはずなんだ。君が言うように、羽だったり、輪っかだったり。でも君は違うみたいだねぇ……「にゅーたいぷ」だ」
「ニュータイプ……?」
「こりゃあ不味まずいことになったなぁ~……」
うーん、とまた考え込むガブリエルさん。
なるほど、大体話が見えてきた気がする。
ここは天界の端くれで、地獄から天国に行くための、いわゆる休憩所のような役割。
普通はここで、天使の輪っかやら羽やらが生えてくるなのだが、私の場合は、輪っかはあるが羽が無いようだ。
「……じゃあ、天使には階級があるっていうのは、君は知ってる?」
「知ってる。上級が熾天使、智天使、座天使、中級が主天使、力天使、能天使、下級が権天使、大天使、天使でしょ?」
「凄い……凄い凄い……」
名簿を脇に挟んでゆっくりぱちぱちと拍手をされてしまった。
ガブリエルは、キリスト教における三大天使の一人。階級は下級の大天使アークエンジェル。
キリスト教において、「神の声を伝える者」として、その名前が名づけられたとかなんとか。
「君はその天使よりも以下の存在だね」
「つまり言いますと?」
「下級天使以下だね。天使だけど天使じゃない。つまり赤子みたいなものだね」
「なんやて」
なるほど、つまりは一からスタートか。
え、じゃあどうすればいいの? 天界に上がれなくない?
「あ、上がれないとかはないから、大丈夫大丈夫」
「あ、そうなんですね……」
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