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「もしかしたら、天界に上がれば出るかもしれない……まぁ、いいや。なんか不安だし、僕がついて行こうではないか」
「え、いいんですか?」
「なんか不安だし……」
「不安なんですね……まぁ、私も不安ですし、ついてきてくれるとありがたいです」
「うんうん、良きかな良きかな……」
一本道をゆっくり歩いていくガブリエルさんに慌ててついていく。
「名簿を見たけども、君は高校生とか言うやつなんだって?」
「そうです。……というか、入学式の日に死んだからさぶっちゃけ言って高校生歴3時間位なんですよ」
「なるほどなるほど……地上の生活は、僕達には分からないけど……楽しいのかい?」
「楽しいって思えば、楽しいですかね。でも、中には貧しい人だっているからさ。誰しもが楽しいってわけじゃないと思う……思います」
「敬語は無しでいいよ~、僕堅苦しいの嫌いなんだ~」
「じゃあ……うん。ガブリエルは、天界出身なの?」
「そうだよ。まだまだ身分の低い方さ」
「へぇ……」
などと話しているうちに、私とガブリエルさんはエスカレーターの前へと辿り着く。
上を見上げれば見上げるほどその姿は小さくなり、飽きる程長いと思わせられるこのエスカレーターを上がるとなると、少し憂鬱に思えてくる。
「面倒くさそう……」
「うーんそうだなぁ……あ、いいこと思いついたや」
ガシッ。
効果音が聞こえそうな位の勢いで、脇を通して彼の腕に捕まえられる。
「持ってて」と名簿を渡される。
「せーのぉーっ」
受け取ったと同時に彼は構えている。
うそ、なにしてんの?
ブワッと風が吹くと同時に、さっきまでいた花畑が一気に遠のいていく。
え? なに、何が起こってんの?
「僕もちょっと、急いでるからね。君のことも、ちょっと言わなきゃならないし、ね」
「あ、飛んでるんですね、私を抱いて」
「そゆことー」
大きく広がる羽をみて、すぐに察せた。
「あ、お名前」
「へ?」
「お名前さ、ウリエルなんてどーよ」
「ウリエル!? それはユダヤの天使じゃ……!」
「いいんじゃない? キリストの天界には、ウリエルがいないのだから、丁度いいと思うんだ~」
「えぇ……じゃあ、もうそれでいいですよ……」
「わぁい! ウリエル、ウリエル~!」
飛びながら彼は喜んでいた。
この先にある結末がどうであれ、まずは案内人が優しい天使でよかったと思うよ……。
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