婿候補
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婿候補

突如として始まったアメリアの婿候補集め。 其れはバルダーニとメナムによって静かに進められた。 「は?今、なんと」 「だからそなたの息子、フェルディナントをアメリアの婿候補として迎えたいと云っている」 「バルダーニ王よ、ご冗談は──」 「冗談ではない。おれは至極真面目だ」 「し…しかし…息子は我がレスフォルス家の長男です。しかも出来の悪い。なのにどうして」 「今、出来がいいとか悪いとかは関係ない。おれは最も信頼のおける臣下であるそなたの息子を気に入っている。其れはメナムも同様にな。其れにレスフォルス家の跡取りだという事も承知している。だがそなたの妻はまだ若い。これからも子どもに恵まれるかもしれないだろう」 「……」 「万が一、今後跡を継ぐ者が生まれなければフェルディナントとアメリアとの間に生まれるだろう子どもをひとりレスフォルス家の養子にやろう」 「其れは…!」 「そなたにとっては孫、しかも王家とレスフォルス家ふたつの血を引く者だ。文句はあるまい」 「……」 「とはいえ、其れはあくまでもアメリアが伴侶としてフェルディナントを選んだ場合の話だ。今は所詮候補に置きたいというだけの話だからな」 「…そう、ですな」 「どうだ?受け入れてはくれまいか」 「……まぁ、姫様が愚息を選ぶ事などありえませんでしょうから…」 「其れは解らぬがな」 「……解りました。其のお話、謹んでお受けいたしましょう」 「そうか、嬉しいぞドルガ」 「しかし姫様に婿とは……まだまだ先の話だと思っておりました」 「まぁ、そうなのだがこういう事は少しずつじっくりと周りから固めて行った方がよいかと思ってな」 「相変わらず王の姫様可愛がりはご健在ですな。まぁ、あれだけ可愛らしい姫様の事。悪い虫が付かぬように早々に気を付けるに越した事はありませんな」 「そうだろう?そなたなら解ってくれると思っていたぞ」 ──このように厳選されたアメリアの婿候補たちが着々と集められて行ったのだった
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