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夏休みに入った。いつものように照りつける暑い日とは違い、大雨の日があった。その日は、愛知県にいる祖父母の家に顔を出す予定があり、すでに新幹線の切符を買っていた。この大雨だから、祖父母は、来なくていいと言っていたが、俺が、電話で行くと言ったときの祖父母の嬉しそうな声が忘れられなかったので、行くことにした。駅のホームは、水が浸水し、滑りやすくなっていた。俺は、乗り換えをしようと階段を登り終えたとき、勢いよく転んでしまった。みんな、俺を横目で見ながら、素通りしていく。俺は、恥ずかしさとみんなの目がいつも俺の周りにいる人たちと同じ目だと感じた。ついてない。心でそう思いながら、立ち上がろうとした時に、目の前に男性が立っていた。そう、これが、夏希との初めての出会い。そして、俺を変えてくれた人。 「大丈夫か?」 そう心配そうに尋ねる。彼の手には、俺の切符があった。 「すみません、、、ありがとうございます。」 俺は、自分の切符を受け取った。 彼が俺に手を出してくれた。 「立てるか?」 俺は、少し恥ずかしくて、けど、どこか嬉かった。 「す、すみません、、、」 そういうと、彼の手を取った。 「気をつけろよ、じゃあな。」     
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