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彼は足早に去って行った。 「あ、、、待って、、」 俺の声は、都会の雑踏で消えていった。いい人だったな、大学生のような風貌だったな。名前だけでも知りたかったな。あんな人が、俺の周りに1人でもいてくれたら、救われていたのかな。そんなことを思い、新幹線の中で変わりゆく景色を見ながら、考えていた。無事に名古屋に着き、祖父母に会えた。祖父母は、とても喜んでくれていた。 俺は、祖父母の家を後にする。大雨は、いつの間にか晴天に変わっていた。真夏の太陽が顔を覗かせ、照りつけ始める。夏は、まだまだ続きそうだなぁ。俺は、そう思いながら、駅のホームへ向かい歩き始める。歩きながら、駅で出会った彼のことを考えていた。俺より身長が高くて、端正な顔、そして優しい声。いい人だったな、とあらためて思ってしまう。もう一度、会いたい。そう強く思うようになっていた。 新幹線に乗り、無事東京に帰ってきた。名古屋より人が多くて、東京だなとしみじみと思ってしまった。俺は、雑踏に紛れて、自宅へと向かう。辺りは、すっかり夜になろうとしていた。 自宅に着き、一人ただいまと言う。     
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