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当たり前のように、何も返事がない。こんなことをもうずっと続けているような気がする。お父さんは、ほとんど自宅に帰らない人で、帰っても夜遅い。お母さんは、母方の祖父がやっている企業を継いで、取締役か何かになっていると言っていた。そのせいで、常に忙しそうで、家に帰ってきても、話すことなどほとんどない。俺は、一人っ子だから、いつも家では、一人だった。 コンビニで買ってきたご飯を食べ終え、自室に戻る。椅子に座り、ふと机の上に置いてあった本を手に取る。「簿記原理」。大学で学んでいた専門書だった。そういえば、この本に書いてある自分の興味がある分野について、夏休み明けにレポートを出してくださいと言われていた。明日、図書館でも行くか。俺は、そう思い、椅子から立ち上がり、ベッドに横になる。静かに目を閉じ、眠りにつく。 翌朝。目を覚ますと、時計は10時を回っていた。もうこんな時間か。今日は、図書館に行く予定だ。俺は、身支度を整え、誰もいない静かな家を一人あとにした。     
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