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俺の家から、大学まで電車で5駅のところにある。木々が綺麗に整備され、自然豊かな場所に立地している。大学自体は綺麗で、落ち着いている。大学の正門を抜け、しばらく歩き続けると図書館が見えてくる。図書館は、3階建てで、一階はガラス張りとなり、カフェになっている。カフェで楽しそうに談笑している姿が見える。少し羨ましいなと思いながら、二階にあがり図書館へ向かう。図書館は静かで、人は、あまりいないみたいだ。俺は、会計分野の本があるところに向かう。調べると3階の隅の一角にあるみたいだ。階段を上がり、目的地へと向かう。会計という札を見つけ、自分の興味がありそうな本を手に取る。パラパラとめくりどれも興味がわかなかった。ふと目を上に向けると、簿記の歴史という分厚い本が目に入った。歴史か、俺は、少し面白そうだと思った。本を取りたいが、俺の身長では届きそうになかった。近くにイスがあり、それに上がり、取ろうとした。 本に手をかけると、思いのほか重く、しかも、なかなか抜けない。俺は、力を入れ、引き抜いた。すると、その反動で、バランスを崩してしまった。直観で、落ちるなと思った。案の定、イスから落ちてしまった。けど、誰かに支えられていた。後ろからギュッと抱かれている状態だ。 「大丈夫か。」 この声に覚えがあった。駅で俺を助けてくれた人の声。優しい声。 俺は、振り返り、目が合う。すぐに謝罪する。 「すみません。」 やっぱりあの時の人だった。嬉しさ反面驚き反面だった。何でここにいるんだろう。同じ大学だったのかな。俺のことを覚えてくれているのかなと思った。 「いつも危なげだな。」 微笑みながら、見つめる。覚えてくれていたようだ。俺は、少しの恥ずかしさと嬉しさがあった。 「あの時は、ありがとうございました。今回も、また、助けていただいてありがとうございます。」 俺は、照れながら俯きかげんで言う。 「今度は気をつけろよ。」 彼が、どこかに行こうとする。 「あっ、待って。ひ、暇なら、ご飯でも食べませんか。」 俺は、思いかけず言葉を言ってしまった同時に自分はおかしくなったのかと思う。これまで、こんなに積極的に誘うことなどなかったから。     
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