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プロローグ
俺は、夏原瑞葉。残念なことに、日本でも有名な国会議員の息子である。そのせいで、有名幼稚園に入れられ、徹底したエリート教育を受けてきた。俺の周りを見渡すと、無駄に気を遣う人、親に言われ、とりあえず仲良くしておけと言われまとわりつく人ばかりだった。そんな人間関係に嫌気がさしていた。みんな、建前ばかりで俺のことを見てくれている人がいなかった。
(友達、欲しいな)
純粋な俺の願いだった。それは、とてもとてもあまりにも長く続いてきた願いだった。
今、大学一年生となった。幼稚園から大学までエスカレーター式に進学し、そのせいで、周りを取り巻く環境は何一つ変わらなかった。俺は、どこかで大学生になると、何かが変わるような気がしていた。巷では、大学生は、楽しいことだらけというイメージがあったから。けど、俺は、その一方で変わらないだろうなとどこかで諦めにも近い思いがあった。
いつものように大学で講義を受け、いつもの人に囲まれ、当たり障りのない会話をしている。本当に、どうでもいい会話を周りの人たちは、繰り返す。面白いことに、俺と一緒に遊ぼうと言ってくれる人がいないことだ。みんな、大学が終わると、バラバラに別れる。学校内だけの関係だなと実感する。俺は、無性に試したくなった。だから、夏休みに入る前の日に、みんなに言ってみた。
「夏休み2か月もあるし、みんなでどっか行かない?」
そう言うと、みんなはいつもの愛想笑いで、同意してくれた。後日、グループラインで決めようとなった。結論だけ言うと、夏休みにみんなと会うことはなかった。けど、俺は、何も悲しくなかった。そう、夏希に会えたから。
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