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バチバチバチ・・・。
バチバチ・・・。
鉄工所で聞く火花が飛び散るような音が夜の闇に鳴り響いた。
路地裏では、青白く光る男を目撃したと、近頃噂になっている。その音と光と共に、悪は滅び、そしてその光もまた闇に消えていくとも囁かれていた。
「助けてくれ!なあ!頼むよ!」
ありきたりな命乞いの台詞を吐いたこの男、歳は三十代半ばだろうか。パンチパーマに下品な柄のシャツを着ている。
「・・・何処にでも許容範囲ってのがありますよね。それを超えるどころか超越してしまったら罰せられるのは当然ではないでしょうか?」
そう言い放った男は、まだ高校生くらいの青年で、髪は明るいが目鼻立ちの整い具合から西洋の地が混じっているようにも見える。
「あ?何言ってんだ!誰だって悪さの一つや二つ身に覚えがあるはずだろ?何で見ず知らずのてめえに俺が裁かれなければいけないんだよー!?あぁ??」
パンチパーマの男は自分が劣勢なことも忘れその青年の落ち着いた態度に激高した。
「おい!おっさん!」別の男の声が路地裏ビルの外階段上部から聞こえた。
パンチパーマの男が声の方向に目を向けると、目の前の男と同じ制服を着た青年が錆びた手すりに寄りかかりながら見下ろしていた。
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