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「響、電流強過ぎたんじゃねえか?死んでねえか?おいおっさん、これに懲りて生き方変えろよ!あっ、聞こえないか」上から降りて来た堵夢が足でゴロゴロと男の様子を窺った。
「うぐううう・・・・」男は失禁しながら体を痙攣させている。
「放っておいたらやばそうだし、救急車だけ呼んどいてやるか」
響がそう言うと二人は救急車を呼び、その場を後にした。
「響、この後どうする?」
「もう少し見て回ろう」
「ああ、分かった」
そう言って二人は再び夜の闇に消えて行った。
翌朝。
「続いてのニュースです。昨晩未明、東京都〇〇区で、男が感電して気を失っていたところを緊急搬送した事件で、警察はこの男がこの地域で起こっていた連続窃盗及び恐喝、詐欺事件に関与していた疑いがあるとみて調査を進めております。また警察は男が感電した経緯についても、近くで電流をまとった男が目撃されたとの奇怪な噂が広まっており、男の回復を待って調査する見込みです」
テレビのニュースが昨晩の出来事を伝える。
「おい!響!起きろ!遅刻だ!」
「うわー!!」
響と堵夢は慌てて仕度をし、家を飛び出した。遅れる可能性の方が高いけれど、彼らは諦めない。ドアツードアは己の全てをぶつけるつもりで全力疾走する。
学校まではそう遠くはない。たった一駅。しかし、このままだと遅刻してしまう。
日課ではないけれど、毎晩が夜更かしなので高い確率で登校には必死な朝が多い。
その分、授業中は眠りの延長戦(ロスタイム)になることが多く、響と堵夢の長き課題となっている。
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