1人が本棚に入れています
本棚に追加
「おい、西川、大丈夫か?」
「ひっぐひっぐ」西川は体を更に縮めながら、泣くのを一生懸命こらえている様子で、両目からは抑えきれなくなった涙がボロボロとこぼれていた。
「すぐ戻るから、ここでじっとしてろ!これで傷口押さえて!」
響はそう言って脱いだ上着を輝海に渡した。
西川は静かに頷き上着で傷口を押さえた。
「おら、待てよー!」窓の外に落ちて行った犯人を追って窓から飛び降りると、犯人は響を陰で待ち構えていたようで、タイミングをずらして、ナイフを振りかざしてきた。不意を突かれた感じで、響は右肩の後ろを切り付けられた。
「ぐあっ」右肩に鮮烈な痛みが走る。
「ハアハア・・・。お前、俺の邪魔をするな」
「お前、何者だ?諦めたんじゃなかったのか?」
「お前に名のる訳ないだろう?諦めたのは殺さないことをだ!」
「それなら名のらせるまでだし、懲らしめねえとだな」
「おうりゃー」
響は力いっぱいに男の左わき腹にミドルキックを入れようとしたが、男は左腕でそれをガードした。蹴りが当たった男の左腕は、まるで鉄骨のような硬さだった。
「いってえ!」あまりにも固いので逆にこちらが足を痛めてしまった。
「んふ。痛いんだ?へえ。大変だね・・・」男はそう言ってにやけながら蹴られた左腕の袖をめくってみせた。めくって露わにあったその腕は肌色ではなく銀色に鈍く輝いていた。
「機械・・・なのか?」
響の見る限り、男の腕は手首から肩まで完全に金属だった。
「お前、邪魔」男はそうつぶやくと、ものすごい勢いで響に襲い掛かってきた。今までこんなに早いパンチ見たことがない。男のパンチを紙一重でよけると、その拳はよけた先の壁にぶつかり、その拳は壁を砕いた。
「マジかよ・・・」響は固唾を呑んだ。
壁に当たった右の拳の皮がめくれ、そのめくれた皮の下からは、機械の拳が顔をのぞかせる。
―両腕機械・・・。もしかして、機械人間とかか?ロボットか?サイボーグ?
最初のコメントを投稿しよう!