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色々考えていたせいで響は男の姿を見失った。そして殺気を感じた次の瞬間には、後ろから首を絞められていた。このまま閉められ続けたら、殺されてしまう。響は男の左腕を握り、意識を集中した上で電力を解き放った。
「くらえー!」
バリバリバリ!相手の腕は金属だけあって、それはよく電気を通した。男は、思い切り感電し、左腕から流れた電気は男の体を覆っていた偽の皮膚を溶かした。男の中から現れたのは、体の三分の一を覆う機械だった。顔の左側、飛んで左腕と右腕。左の脇腹下から局部周辺、右足の膝上まで機械で覆われている。
「機械男(きかいおとこ)??」
「へっ、貴様は電気男(でんきおとこ)か・・・お前みたいな化け物が人間のふりをして王子様気取りか?」
「機械男も中々の化物具合だぜ!変態野郎!」男の右半分に右フックを浴びせると、男はギリギリで避けて、機械の左腕でクロスカウンターを出してきた。響はそれを顔面へもろにくらってしまい、一気にストンと膝を落とした。
「電気の化け物も俺の最強ボディーには敵わない。お前を殺したら、今度こそ西川輝海ちゃんを殺さないとだ。お前も調子に乗るから、こうなるんだぜ!俺の楽しみを奪うなって話だ」
「な・・・なぜ殺そうとする?」
「どうせお前は死ぬから教えてやるよ。これを聞けば少しは俺がかわいそうなやつだと思うだろう。俺、こんな体でしょ?でも心はまだまだ一人の男なわけ。でも、こんな体なわけ。女をなんとかしたくてね。でもどうにもならなくて、勢いで殺しちゃったらさ、それが快感になっちゃたわけ!輝海ちゃんでね、四人目なんだ。もういいでしょ?死んじゃえよ!」
―こいつだ!こいつがきっと俺の母ちゃんを殺したやつだ!でも、足に力が入らない。
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