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走馬灯ではないけれど、妙にゆっくり見えるその男が右手で振りかざした手刀が響の胸を一突きする瞬間、右側から素早い足音が聞こえた。足音の方を見るとそれはあまりに早くて、突風が響の目の前を通過するかのような勢いだった。そしてそれが過ぎ去った瞬間、その先には金属の片腕がクルクル空を舞って、ストンと地面に落ち突き刺さった。
「誰だてめえ!?」機械男は声を荒げた。
そしてその突風は男がまだ動転している間に、もう一度突風をお越し、その男を恐らく正面から殴って吹き飛ばした。
「イッテ・・・何て体してやがる。俺の拳がイカレちまった。おい響?大丈夫か?」
それは堵夢だった。
「堵夢・・・、あいつが犯人だ」
「わかった」堵夢はそう言うと、もの凄い勢いで男に飛び蹴りを喰らわせ、その後、何度も何度もキックとパンチを繰り返した。。
「おい、響!こいつ固ってえ!」
「ああ、機械だそれ」
「やっぱそうか」堵夢はそう返事をすると、その男をズルズル引きずり響の方にきてこう言った。
「復讐しろよ」
響はその男の顔面を掴んで涙を流した。そうしてこうつぶやいた。「母ちゃん・・・」響は全身全霊で再び電気を放出した。「うおおおおー!!!」
「うがああああああああ」男の残っていた服も毛という毛も、全て焦げ去った。響の服もついでに焦げ去った。男は失禁していて意識はもうない。そんな男の体をよく見ると、左足の機械の部分に赤いサソリのようなマークが入っていた。初めて見たそのマークが妙に気になったが、そのことを口にすることはなかった。
堵夢は帰宅後、家にいなかった響を心配し、駆けつけてくれた。そしてここに着いた瞬間、何者かに殺されそうになっていた響を目の当たりにし我を忘れて戦った。
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