4.ストーカー退治は予想外!絶対貴様は許さない!

7/8
前へ
/60ページ
次へ
響と堵夢は輝海の元に戻り、声をかけた。 「西川、大丈夫か?」 「テルミン?もう安心だよ」 「きゃあああ」 「え?」「え?」 「あ・・・うわああ」響は服がないことを忘れていた。 裸で帰る訳にもいかず、西川の親父さんの服を借りた。犯人は咲夜に事情を話し、置手紙と共に警察署に置いてきてもらった。 数日後、蒼野家に来た担当刑事が響たちに状況を話してくれた。 犯人は八戸(はちのへ)大義(だいぎ)という名前で、元ボクサーだった。チャンピョンになる王座決定戦で敗れ、その際に負ったダメージの影響で、体の左側、下半身の機能をほとんど失っていた。その機能を復活させるために、体をマッドスコーピオンという組織に預け、今の体になったという。でも、あんな体ではボクサーとしては復帰できず、ボクシング一筋だった八戸はどの業界にもなじめず、おまけに結婚を約束していた彼女にも見捨てられ、自暴自棄になった。 四年前に一人目の被害者、川和田友美を殺害。そしてその翌年、響の母、雷園寺乙女を殺害。翌半年後、飯田川真美を殺害、そして今回、また新たな被害者が出ようとしたところで、何者かによってそれが防がれた。 「わかりました刑事さん。でも、マッドスコーピオンって?」 響は初めて聞いた組織の名前だったが、八戸の体にあったマークと、その名前から既に悪の組織だということがわかる。 「マッドスコーピオンについては我々も調べているところだ。今のところわかっているのは、このサソリのマークが彼らのシンボルだってこと。後はこの八戸のように人体を改造する技術を持っている組織ってことくらいだ。何かまたわかったことがあったら知らせるから、君たちも何かわかったら知らせてくれ」 「わかりました」 ―警察は頼りにならない。本当にそう思った。彼らが出来たことは事件が起きた後の取り調べ。俺たちがいなかったら、八戸はもっともっと多くの人を殺めていたに違いない。マッドスコーピオン・・・。俺たちはとてつもない暗の組織に手を出してしまったのかもしれない。そう思うと響の心のざわめきは止まらなかった。
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加