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碧ちゃんのアパートと日花里の家はこの橋から歩いてすぐの場所にある。一人っ子の碧ちゃんは、鍵っ子ってやつだった。小さな女の子一人と高校生男子二人。今のご時世、何を思われ言われるかわからない。渋々だが、今回は日花里の力も借りることにした。
「今回はBBBではないわね、BBB&Gかな?Gはガールよ?」日花里がにやつきなが響たちに振り向きざまにそう言った。
「いやいや、BBBで大丈夫だろ!男みたいなもんだろ日花里は」
響がそういった瞬間、右回し蹴りが響のこめかみ目がけて飛んできた。慌ててそれを避けると、響の後ろで明後日の方向にいた犬の散歩をする女性を見ていた堵夢のこめかみに直撃した。
「いってー!」そう言って堵夢はこめかみを両手で押さえながらしゃがみこんだ。
「何で?他の女の子を見ていては駄目?」堵夢は何故、日花里の回し蹴りが飛んできたか把握していない様子だった。
「あはは、ごめん!なんか、ごめん!ほっ、ほら今は空手に夢中でさ、ついつい足がでちゃったわん」日花里は少しふざけながら堵夢へ謝罪した。
「あはは・・・」“ゴンっ”「痛っ」響は調子を合わせて笑ってみたが、日花里に頭を肘打ちされてしまった。
碧ちゃんの住むアパートに到着すると、碧ちゃんが中へ案内した。
「散らかっていますけど、どーぞ」
そう言って碧ちゃんは三人を家に上げた。
家の中は綺麗に片付いていて、碧ちゃんはすぐにお茶を入れた。小学一年生とは思えない手際の良さだ。碧ちゃんはお茶をすする三人をニコニコしながら見ていたが、時計の鐘が鳴った瞬間、“はっ”と音に瞬間的に反応し、立ち上がり、掃除を始めた。時計の針は夕方の四時を指していた。
堵夢は残りの茶をすすり終えるとこう言った。
「おいおい、これはあんまりだな・・・」
「えっ、どういうこと?」ニコニコしていた日花里がその笑顔を止めた。
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