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碧ちゃんは一年生。六歳、七歳程の子供が、なんでこんな手際よくお茶を入れられるって。何で四時のチャイムと共に焦って掃除を始めるって・・・。心苦しいったらない。
「堵夢、これは手厳しくいこう」
「だな」
響と堵夢は外に出て碧ちゃんの母親と今日現れる予定の父親を隠れて待つことにした。日花里は碧ちゃんと家の中で様子を探ることにした。待ち始めてすぐ、夕焼けを背に二人が帰ってきた。碧ちゃんの話だと父親は“車屋さん”と話していた。紺色のつなぎ、頭にタオルを巻いている。恐らく車の板金屋のように見える。母親は“お酒屋さん”と碧ちゃんが話していた。服装から見てスナック等で働いているのだろう。
「このアパートか?」
「はっ、はい」母親は明らかにこの男に怯えている。
男がドアを開けると、碧ちゃんは慌てて玄関へ向かい、正座して二人を出迎えお辞儀しながら「おかえりなさい」と挨拶をした。
その光景に日花里は「おっ、お邪魔してます・・・」と慌てて気まずそうに挨拶をした。
「誰だお前?」男は威圧的な態度でそう言った。
「あっ、はい。大外日花里といいます。碧ちゃんの友達です」日花里は苛立つ心を押さえながらぎこちない笑顔で自己紹介を済ませた。
「あっ、そう。こいつの友達?今日は家族で久々の再開なので帰ってもらっていい?」そう男は軽く言いながら手で出ていけという仕草をした。
「あっ、でも」
「おい・・・帰れって!言ってんの!」
「・・・わかりました」そういうと日花里は「またね」と碧ちゃんに小声で挨拶をしながらその場を後にした。
ドカッと胡坐をかいた義理の父親に、碧ちゃんはお茶を出した。
「あっつ」男にはお茶が熱すぎたのか、お茶を一口すすると、飲むのを止め、碧ちゃんを睨みつけた。
「ご、ごめんなさい」碧ちゃんは泣きそうになりながら父親に謝罪した。
男はすぐさま、碧ちゃんの髪を引っ張り、体を持ち上げ、碧ちゃんを壁に放
“ドカッ”鈍い音と共に、碧ちゃんは壁に打ち付けられた。それを見た母親は無言で碧ちゃんの元へ駆け寄り、無言で碧ちゃんを抱き寄せた。男は碧ちゃんを抱き寄せた母親を何度も何度も踏みつけた。
「会って早々、こんな仕打ちか?俺は猫舌だって言ったよな?学習能力ないのかこのガキは?お前がこんなガキ産むから俺がこんな目に合うんだろ?」
男は罵声を浴びせながら二人への暴力を続けた。
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