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日花里もこう話を続けた。
「二人に謝って。そしてあんたには気の毒かもしれないけれど、これで終わりにしましょう。もう、二人に二度と近づかないでほしい。動画も約束をしてくれるのなら、警察に届けたりしないから」
「・・・わかった」男はそう言うと、トボトボと部屋を出ようと行動に出た。
そんな男の背中を母親は碧ちゃんを抱きしめながら涙を流して見つめていた。
響たちはもっと良い方法があったのではなかったのだろうかと互いを横目で見つめ、小さくため息をこぼした。
が、次の瞬間、男は出口付近で壁に寄り掛かって様子を見守っていた響のビデオカメラを奪って外の路上に叩きつけた。カメラは“ガシャン!”と鋭い音を立てながら砕けた。
「これで証拠はない!今に見てろよ!」男はそう言うとその場から走り去っ・・・ることは出来なかった。
「まず、カメラ、五万ね」響はそう言いながらその場から去ろうとしていた男の左手を掴んだ。
男はとっさにその手を外そうとした。響はすかさずその勢いを利用して出足払いをし、地べたに男を叩きつけた。そして次の瞬間には男の体へ響の電流が流された。
ババババババ!
「あばばばばっ」男は悶絶しながら失禁、そのまま気を失った。
「・・・こいつも焦っていたんだろうな。カメラ本体を壊してもSDカードが残っていたらデータは消えないことぐらいわかんだろ」堵夢があきれながらそう言って、警察に電話をかけだした。
「俺の五万円・・・。報酬は飴ちゃん・・・」割に合わないけれど、碧ちゃんの笑顔を取り戻せるならそれはそれで良いのかもしれないな・・・。
「あはははは!」堵夢と日花里は笑いながら響の肩に腕を乗せた。
外はすっかり夕暮れ時で、ここ最近で一番綺麗な夕焼けが静かに三人を照らしていた。
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