4 写真部

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磨いていたカメラを机に置き、こちらに近づいてくる。 「きみが入部希望者か。一応自己紹介をしておくよ。私は相生檸檬。まあ、レモンちゃんとでも呼んでくれ。そうすると、そこの眼鏡をかけた真面目君はソウちゃんということになるのかな。おっと、軽いジョークだから、忘れてくれ」 そう言い放つと、さっさと暗室の中に消えていってしまった。 「えっと、まああんな部長だけど、ほんとに悪気とかないから。あっ、総ちゃんっていうのは僕の名前が総一郎っていうから」 と、特に何事もなかったように答える。 なんだか、すごいところに来てしまったのかもしれない。唖然としてしまっていると、建部先輩が声を掛けてきた。 「じゃあ、とりあえず部の活動について簡単に説明しようか」 「はい、お願いします」 「じゃあ、そこの席に座って」  建部先輩は棚から一冊のファイルを取り出す。 「写真部はさ、結構昔からあるんだけど、ずいぶん部員も減って休部一歩手前でね。相生さんと僕ともう一人、今日はいないんだけど、法界院紅葉っていう先輩がいます」 そして、ファイルをパラパラとめくりながら、一枚の写真を指さす。 「ほら、この写真とか。その先輩が撮ったものなんだ」 目の前に差し出された写真は、よくある田舎の風景だったのだが、一瞬でその景色の音やにおいが伝わってきた。 「どう? すごいよね。まあ、これだけ才能がある人なんて、数十年に一人とかそんな感じだろうけど」 笑いながら、先輩は写真を元に戻す。 「普段は、文化祭とか民間の公募に応募したりしている感じかな。活動も自由だし、でも、月に数回はみんなで集まっています」 私が物珍しそうに周りをみていると、 「どうかな? 少しは興味を持ってもらえたかな?」 「はい、まあ、何となくですけど」 「よかった。まあ、今日はこれくらいにしようか。時間も遅くなっているしね」 「はい、ありがとうございました」 「いえいえ、こちらこそ。じゃあ、もしよかったら、正式には今度の部活動顔合わせ会で」 その後、挨拶をして部室を後にする。今日の話なら、なんとか私でも続けられそうだ。それに、あの西大寺君もきっといるし。まあ、今日は会えなかったけど、たぶん入部するよね。うん、大丈夫、何とか頑張れるはず。そう、自分に言い聞かせながら、家路に着いた。
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