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「ねえ、さおりん」
横に座っている有紀が話しかけてくる。
「えっ、なに?」
「よかったねー、西大寺君が一緒で」
「いや、まあ、そうだけど……」
さおりんは、いつも直球を投げてくる。まあ、そんな飾らないところが、良さだったりするんだけど。
「よお、佐倉。これからもよろしくな」
そういって、私の頭を長瀬が小突く。
「もお、何するのよ」
「いやいや、ちょっとしたコミュニケーションじゃないですか」
そんな会話の中でふと西大寺君を見た。窓の外を見ていたみたいだけど、こちらに気づいて笑顔を返してくれた。私は直視できず、顔を赤らめてしまった。
「お、さおりんの顔が急に赤くなったよー。どうしたのかな?」
「いやー、ほんとですなあ、三門さん。いったい佐倉さんはどうしたんでしょうねぇ?」
「もう、二人とも。からかわないでよ!」
こんな風にバカみたいに話せる相手がいるって幸せだ。私ももっと頑張らないといけないなぁ。
窓の外の木々たちは青葉を茂らせていて、段々と夏が近づいてきていることを感じさせた。
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