0 プロローグ

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 今日からいよいよ高校生。真新しい制服に袖を通す。これから、いろいろな思い出に染まっていく自分を鏡で見る。赤いリボンにブレザー、チェックのスカートに黒のソックス、そして今はないけどローファー。かわいさでいえば普通だけど、私は十分気に入っている。  ふと時計を見れば、七時半。そろそろかな、と玄関へ歩を進める。ほどなくして、チャイムが鳴り、聞き慣れた声が外から聞こえてくる。 「おーい、さおりん。おはようー」 彼女は三門有紀。小学校からの幼馴染で困ったときの、よき相談相手。生まれたときから明るさだけで生きているのかと思うくらい、いつでも少々騒がしい。ドアを開けると、いつも見慣れた黒髪ショートカットの彼女が立っていた。 「有紀、おはよう。相変わらず今日も元気だね」 「だって、そうでもしなきゃ毎日が楽しくないじゃない」 「まあ、そうかもしれないけどさ」 そんなたわいのない会話をしながら、私たちは歩き始める。 「ところで、さおりん。その制服、よく似合っているじゃないですか」 「そんなこと言って。有紀だって、十分かわいいよ」 「かわいいだなんで、少し照れちゃうな」 「あっ、有紀、もしかして結構この制服気に入っているの?」 「そ、そんなことないって。まあとりあえず、これから三年間、またよろしくね」 「うん、よろしく」  見上げた空は青く晴れ渡り、近所の公園の桜は満開。これほど入学式に相応しい日はないのかもしれない。
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