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県立朝宮高校。県内では一応進学校とされているが、もっぱら地方の国立大学が中心で、難関大学への進学者はあまりいない。学科といえば、普通科と理数科を持つ、ありふれたタイプの一般的な高校である。まあ、理数科には変わり者が多く集うというが、私が進む普通科は至って普通……らしい。
校門をくぐると、大きな桜と銀杏の木が出迎える。なんでも、この学校を建てるときに、切り倒すと祟りがあるとかなんとかで、そのまま残されたものだと先輩からきいたことがある。今時、そんな迷信みたいなことがあるのかと言われそうだが、実際あるのだろうから、きっとこんな感じになっているのだろう。現代にしては非科学的な感じはとってもするけれど。
しばらくいくと、左に体育館があり、その前に人だかりができている。どうやら、クラス分けが貼ってあるようだ。
「ねえ、さおりん。また、同じクラスになれるかな?」
「さあ、どうだろうね」
私は、掲示板に目をやる。多くの漢字が羅列された板の中に、目的とするものを見つけた。
「私、一年二組だ」
「えっ、さおりん、見つけるの早いー。私まだなのにー」
そんな有紀の背中を見つめていると、後ろから声がした。
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