2 出会い

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「おっ、佐倉じゃん。おはよう」 振り返ると、そこには見慣れた姿があった。 「なんだ、長瀬か。おはよう」 「なんだとはなんだよ。せっかく声かけてやったのに」 「それは、ありがとう」 このお調子者は長瀬春樹。こいつとも小学校からの付き合いで、いつもムードメーカー的な存在で、いわゆるスポーツ系男子って感じで、小さい頃からずっとサッカーを続けている。 「そういやさ、佐倉。知ってる?」 「知ってるって、何を?」 「西大寺のこと。あいつ学年でも成績上位だったじゃん。だから、てっきり秀明にでもいったのかと思ったのよ」 「思った……ってことは違うの?」 「そう、実はさ……ここの高校に進学したって話らしいんだ」 「えっ!」  私は思わず変な声を出してしまった。あの西大寺君が同じ学校にいる。 「でさ、今日もせっかくだから朝一緒に来ようと思ったんだけど、俺が寝坊しちゃってさ。あいつ、きっともう来てるんじゃないかな」 「そう……なんだ。へぇ……」 ドキドキした気持ちを抑えていると、有紀が戻ってきた。 「おまたせ、さおりん。どうにも私ってあーいうので探すのって苦手でさ」 「で、何組だったの?」 「もちろん、さおりんと同じ二組……って、いうか、なんで長瀬がいるのさ」 「おまえもかよ。冷たい反応だな」 「だって、長瀬のいいうわさってあんまり聞かないし」 「いやいや、俺だってやるときはやる男ですよ」 「どーだか。で、長瀬は何組なわけ?」 「よくぞきいてくれました。俺はお隣さんの三組です。ちなみに、西大寺も同じクラスですよ」 「えっ、西大寺って、あの西大寺?」 私と同じく有紀も驚いている。 「そう。あの学年上位で有名な西大寺君です」 「へぇー。よかったじゃん、さおりん」 急に話を振られて戸惑う。 「そ、そうだね。うん……」 「あれ? さおりん、顔赤いよ」 「そ、そんなことないって。それより、はやく教室に行こっ」 「はいはい、わかりました」 思わぬ形で、片想いの相手がいることを知ってしまった私。しかも、隣のクラスだなんて。ひょっとしてこれは神様がくれたチャンスなのかな?それとも単なる偶然なのかな?
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