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「よーし、じゃあ部活動の調査用紙を配るぞー」
担任の高梁先生の声が教室に響く。
「うちの高校は基本的に何かの部活に所属してもらうから、そのつもりでなー。もちろん、兼部もできるからなー。まあ、君たちの好きにしてくれー」
うーん、部活かぁ。どうしよう……。窓際の席になった特権でもある青空を見上げる。
「じゃあ、締め切りは二週間後な。仮入部してみて、よく考えておけー。じゃあ、解散ー」
そう言って、先生はさっさと出て行ってしまった。まるで男性のようなサバサバさ。私には到底まねができないなと、思ってしまう。
「ねえ、さおりん」
私の前に、有紀がお弁当を持って現れた。
「部活、どうする?」
「うーん、そうだなあ……」
私の悩みを聞く気があるのかどうかわからないが、弁当箱をさっさと開け、有紀はパクパクと食べ始める。
「やっぱり有紀は陸上なの?」
「そうだね、中学からの経験を生かしたいし。さおりんは?」
「私は……絵を描くのは好きだけどなぁ……」
卵焼きを口にほおばりながら、有紀は言う。
「そういえばさ、西大寺君って何部に入るんだろうね? 中学の時はサッカーだったけど」
「やっぱり、続けるんじゃないの?」
「そうかもね。でも、そこは長瀬とかに訊いてみたほうがいいかもね。あいつ仲よさそうだし」
「そうだね。そうしようかな」
私は、持ってきたサンドイッチをほおばりながら、考える。もし、同じ部活なら、少しは私の気持ち、伝えられるのかな。
その日の放課後。昇降口で長瀬を見つけた。声をかけようとしたけど、その隣には西大寺君がいた。そのせいで、戸惑っていると、向こうから発見されてしまった。
「おっ、佐倉じゃん。今、帰り?」
「うん。そうじゃないとこんなところで会わないでしょ」
「まあ、そうか。そうだ、西大寺。知っているかもだけど、一応紹介しとくよ」
そう言って、私を指さす。
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