名前しか知らなかったライバルに恋した

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工事の生産ラインロボットや企業の案内アンドロイドなどの受注納期は、3月、7月、10月、12月に集中する。
魔の春の地獄期間が終わり、嵐が去ったような束の間の休息の時期だけど、この期間に、手がけたロボットの動作を確認するために視察に全国各地回るため、ゆっくりしてはいられない。

「視察シーズン、苦手です」

この時期だけは、さすがに客先に出向くからそれなりの身だしなみで、季節に合うオフィスレディーな装いをする。
春だから、パステルカラーをスカートかアフターに選び、可愛らしく見えるように心がけた。

「白石さんが女子に見えるわ。いつもこんな格好してたらいいのに…」

既婚者で3歳と5歳のパパをしている吉川部長がわたしの服装を上から下まで見て、言う。
男しかいない職場だから、敢えて、周りの男性に変な気を起こさせないためにも萎えるような格好をしてるのですが、ね。

日本で三本の指に入るAIエンジニアの吉川部長の隣に立つならそれなりの格好をしないと恥を書かせてしまう。

今日は都内の大企業のAIロボットを視察する事になっている。
予定表に目を通し、普段、動かない生活をしてるために体力的にきついと、行く前から根を上げてた。