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昼休憩なんてあっても無いものだけど、働き蟻のように働き詰めなロボット開発部は、朝ごはんと夜ご飯を基本的にとってない。パソコンの前に座ってキーを叩いてるからお腹はすかない。 でも、バランスが取れた美味しいと評判の社食は食べに行ってる。 お昼休憩が終わる10分前、社員食堂へ向かう。 他の社員が部署に戻る時間を狙う。 ごった返す食堂は席を探すのも大変で、並んでランチを手に取るまでも時間がかかる。 そして、キラキラした女子社員からあれこれこそこそ小声で悪口を言われながら食事を取るのが苦痛。 美味しいご飯もまずくなる。 高速でタイピングする彼の手元を見ると、もうファイルが10冊以上、積まれていて、終わらせたようだった。 「飯、行くか!!」 34歳の吉川ロボット開発部長の掛け声で、魂がぬけかけてるエンジニア達がゾンビのように立ち上がる。 「黒崎さん、社食に行きましょう。すみません。先月末の仕事が山のように残っていて、配属早々に仕事漬けにしてしまって。ランチぐらいは取りましょう」 わたしの声かけに、ハッと意識をパソコンからこちらに向けた黒崎さん。 「あっ、はい」 彼が手がけていたプログラムを保存し、席を立った。
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