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待っていた同期が、不思議そうに僕を覗き込んだ。 「何してたんだ?」 「眼鏡を拾ってもらってたんだ」 その眼鏡をしまいながら答える隣で、マーヴィンはちらりと背後を見遣った。 「あれ、本部の捜査員?」 「知らないけど多分、そうじゃないかな」 この炎天下にきっちり着込んだスーツ姿を脳裏に描く。海軍風に刈り込んだ灰色の髪は、爽やかだがきびきびとした印象を与える。歳はどれくらいなのだろうと考えていた。 振り仰ぐとマーヴィンはまだあらぬ方向を見つめていた。少し強めの声で呼びかけると、こちらに顔が向いた。 「帰るよ」 「ああ」 車へ戻る途中、ちらりと視線をやったがすでに警察の群れの中で彼の姿は見つけることができなかった。 まあ沿岸警備隊の科学捜査班である僕と、警察本部の人間が、再び会う可能性は低いだろう。今回は停泊していた船に仕掛けられた爆弾だったが、普段の海の上での仕事は沿岸警備隊の管轄だ。 僕はその男のことをすぐに忘れていた。
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