突破口

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結城は笑って 『転んだ事にすれば大丈夫だろ。』 中瀬は 『って、今の人達はなにッッッ?』 結城は 『俺を消しに来たらしい。敬子には内緒な。』 中瀬は 『消しに来たって………』 結城は 『そろそろ帰ろうか。』 中瀬は結城の額にハンカチを乗せた。 中瀬は 『血が止まるまで待ってようよ。バレちゃうよ。敬子さん、結城君の事になると鋭いから。』 結城は額にハンカチを乗せて止血しながら 『敬子には申し訳ないと思ってるさ。』 中瀬は笑って 『いきなり額を壁にぶつけてるから、何してるのかって思っちゃった。しかし喧嘩強いね~。』 結城は 『強くないって。ただ怖いもの知らずなだけだよ。』 中瀬は 『あの時もそうだったもんね。』 結城は笑って 『中学の頃の話しか?』 中瀬は 『あの時結城君が助けてくれなかったら私………あの人達に回されて犯されてたと思う。森山事件の時だって、練炭で私ヤバかったのにまた助けられた。』 結城は 『俺と中瀬さんは何かで繋がってるんだろうな。』 中瀬は 『私がピンチの時、いつも結城君が私の側に居てくれた気がする。』 結城は 『またピンチの時は助けるから。心配するな。』 中瀬は笑って 『その時はご褒美にキスしてあげる。』 結城は 『またそれかよ。』 中瀬は 『あの後だよね。お互いのファーストキスって。』 結城は 『そうだったっけ?いつしたか忘れちゃった。』 中瀬は 『敬子さんより先に結城君のキスをしたって、私の自慢だからね。』 結城は額のハンカチを取り、額を手で触り 『血止まったかな………』 中瀬も結城の額を見て 『もう少し待とう。でも、中学の時に助けられた話し、今でも不思議に思う。』 結城は 『何が不思議だって?』 中瀬は 『だって、凄くタイミングが良いんだもん。』 結城は 『あれね、本当に偶然なんだよ。偶然に大村さんが俺を見つけてくれて、中瀬さんが他校の生徒数人と一緒に居るけど様子がおかしいって………だから急いで様子を見に行ったら。』 中瀬は 『あの時は凄く嬉しかった。結城君の顔見た瞬間、安心して泣いちゃった。』 結城は笑って 『その話し忘れちゃえよ。そろそろ帰るよ。』 中瀬は 『私は一生忘れないから………』 二人は居酒屋大将に戻った。
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