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「っ!!」
ふと、目が覚めた。
目を開けると白い光が目を刺した。
「………、…ここは…」
手の甲越しに光に目を慣らす。
ぼやける視界が少しずつ視力を取り戻し、最後に数回瞬きをして手をどける。
体を起こして周囲に目を向ける。
畳の床、障子、木製の壁、血溜まり
……血溜まり!?
「っ!?」
畳に染み込んでいるが、体を起こした先には確かに血溜まりがあった。
そう思った瞬間、急に嗅覚が機能を取り戻した。
鉄の匂い、埃っぽい淀んだ空気。
「っは、はぁっ…、あ……!?」
落ち着け、落ち着け!
誰の血だ?
自分の?
慌てて自分の体を見下ろす。
白い着物は一切の汚れはなく、薄紫の袴にも汚れはない。
手、足、顔…痛みもない。
落ち着くんだ。
「すぅ、はぁ…」
そう、落ち着く時は深呼吸。
「すぅ…」
「…………。」
「ぶはぁっ!?!?」
不意に視線を感じ、振り返ると、いつの間にか僕の目の前には一人の少女が立っていた。
「え、あ…、だ、だっ、誰?!」
バクバクと激しく緊張と恐怖を主張する心臓を押さえて、上手く回らない口をなんとか動かし少女に問う。
「……………」
少女は何も言わずに僕を見下ろす。
黒い瞳で静かに見ている。
「…………………」
すごく見てくる。
長い黒髪を2つに結び、巫女服に身を包んでいる。
僕より少し背が高い、でも幼さも感じる顔立ち。
「…………………」
…あ、よく見ると、結構可愛い顔をしてるなぁ、なんて。
「…………」
「あ…」
少女は不意に視線を逸らし、障子へ向かう。
「ね、ねぇ、君だれ?」
慌てて声をかけて、引き止めると、少女は振り向いた。
そして
「………」
人差し指を唇にあて、『静かに』とジェスチャーする。
そう言われたら、黙らざるを得ない…。
仕方なしに口を噤む。
少女は障子の外をそっと覗き見ている。
僕も隣へ行って邪魔にならないよう覗いてみる。
長い廊下が続き、他にもいくつか部屋が見える。
しかし、廊下の端に目を向けた瞬間
「!!」
吐き気が込み上げた。
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