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「……それは、ぼくの名前?」
僕の問いに、少女は頷いてみせた。
と、言っても、多分しろは本名ではなく、彼女が第一印象から付けたのだろう。余りにも
「安ちょ……な、なんでもない!なんでもない!!」
-安直、などと口走りそうになった瞬間、彼女の瞳が「何か言った?」と言わんばかりの…視線だけで殺されそうな目をするものだから、慌てて首と手を大きく横に振った。
そんなぼくを見て、不満そうにこちらを一瞥すると、みおは障子に手をかけようと手を伸ばす
「っ、みお?!外に行くつもりなの?!」
その手を慌てて掴んで静止させると、みおはまた、怪訝そうな顔をした。
「そ、そんな顔されてもだめだよ!外にはさっきの奴がまだいるかもしれないし…、あいつ、刀持ってたから危ないと思うし…」
「………。」
おろおろと拙く説得をする僕に、澪は一瞬驚いたような顔をして、それから
「……え?」
僕の手を上から握り、優しく下ろした。
それから、口を数回動かし、僕にぺこりと頭を下げて再び障子に手をかける。
「みお、だ、だめ、ダメだよ!危ない…」
僕は再び声を上げたけど、みおは止まってくれなかった。
…どうしよう、このままじゃ、みおが怪我をしてしまうかもしれない。
……せっかく出会えたのに、もうお別れなの?
……どうにか止めないと…
忙しなく思考が巡った後、ふと思い立った。
「それなら、僕も一緒に行く!」
そう告げると、みおはバッと勢いよくこちらに振り向いた。
その顔は
「……そこまで嫌?」
最高に迷惑そうで面倒くさそうな顔をしていた。
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