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無様なわたしとその女 1
その女と出会って10年になった。
よくある
「学部が一緒で、バスの席がたまたま隣だった」
という出会いオチ。
さぁ、ここから全てがはじまった!!!!!!と、
言いたいところではあるが違う。
女は まだ ただの普通の女だった。
それは わたしの知らぬ間に
根が肥料を貰って はじまってしまったのだから
しょうがない。
友情と愛情、終わりのない悩みは ここ10年
もうずっと ずーっと回転寿司をしている。
さて、「どんな女なんだ」と思ったあなたに、
特徴をお教えしよう。
化粧っ気0で純粋で、時々天邪鬼,
メンタルは鬼の弱さなのに意地っ張り
ざっと こんな感じで とりあえず。
単語だけみると「面倒くさい女」である。
全くその通りであるが、この手の女はモテる人には
モテるらしい。
「強いと思ったら弱くて 弱いと思ったら変に強い」
そして当のわたしは
「男に頼らず 1人でも生きていけるように
生きるのよ」と、
幼い頃から母に言われ続けて育つ。
おまけに、
新聞記者の父に「思慮深さ 社交性 ストレス耐性」を
教え込まれたもんだから、
面白いくらいに 強い女に仕上がってしまった。
一息ついて、次に行こう。
はじまりは知らぬ間にとは言ったものの、
わたしたち 2人を近づけたのは
「音楽」だったと思う。
「野外+イベント+複数の人人人」という
オプションが加わって(オマケに晴天)
なぜか 手を繋いでしまったのである。
「ふれあい」は時にトンデモナイことをもたらすと
感じたのは、後にも先にも これっきりだ。
好きなものに囲まれて バグった脳みそが
喜びを共有するために、
手をつなごうと信号を送ってしまったらしい。
つないだ手だけがやたら熱くてビックリしたまま
なんとなく離したくなくて、笑顔が綺麗で、
「人混みに紛れない対策」と称して
そのまま歩いて走ったあの時を
わたしはしばらく後悔することになった。
「あの女がほいほい手を繋いできた理由」を
無駄にぐるぐる考えて考えて、
結局 行きつく先は
「なんかどきどきする~~」だったので、
この時に致死量の肥料を撒かれたのであろう。
今になって あの事件のことを聞くと
「繋ぎたかったから繋いだんだよう」
と屈託無く 懲りずに手を差し伸べてくるので、
あぁやっぱり、そういうことだったのかと
むず痒くなるのであった。
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