井上勇樹の想像記 番外編~母目線~

1/3
前へ
/4ページ
次へ

井上勇樹の想像記 番外編~母目線~

こんにちは。 井上といいます。 夫と、息子の勇樹の三人暮らしという、平凡な主婦です。 そしてこの息子の勇樹が大変な問題児で……今回は、そのエピソードの一つを紹介します。 「お母さん、はいこれ。」 ある日学校から帰ってきた勇樹は、大きく薄い包みをわたしてきました。 「何これ?」 「……えーっと、チョコだよ!家庭科でつくったチョコ、今日持ち帰りなんだ。」 「学校でチョコなんかつくったの?」 「そっ、そうだよ!」 勇樹が妙に甲高い声で言いました。 「ふーん。でも、材料買ってあげた覚えはないんだけど……。」 「……学校が、全部材料用意してくれたんだ。だからお母さんには相談しなかったんだよ。」 「そう。」 私はそのときので、とりあえず受け取ったチョコを食べる暇もなく冷蔵庫にしまっておきました。 あら? 昼食をつくるのに忙しかったってことは、今はまだ午前中? 時計をみると、まだ十二時前です。 「ずいぶん早かったわね。」 「あっ、ほら、今日は終業式だったから!」 また、勇樹の声が高くなりました。 そして勇樹は、 「手洗ってくる!ランドセルもしまうね!」 と言って、そそくさと部屋をでていきました。 いつもの勇樹は私が雷をおとすまで手を洗ったりランドセルをしまったりしないのですが。     
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加