井上勇樹の想像記 番外編~母目線~

2/3
前へ
/4ページ
次へ
不思議に思いましたが、聞こうとしたとたんフライパンがじゅうじゅう音を立て始めたので、私はあわてて料理にもどりました。 そして、それっきり忘れてしまいました。 昼食を食べた後、勇樹は手紙や図工の作品、習字の作品などを持ってきました。 「今日はいろんなものをまとめて持ち帰ってきたんだ。」 と勇樹はいいましたが、私はちょうど夫から電話がきたためとりあえず横においておきました。 夫はいつも昼食が終ったころに電話をかけてくるのです。 夕飯の時間に、夫は帰ってきました。 「勇樹、明日から何するの?宿題ははじめにやっておかなきゃだめよ。」 「うん。」 「そういや勇樹、通知表は?今年はよくなったのか?」 勇樹の表情が変わりました。 「もっ、もうお母さんに渡したよ!」 「受け取ってないけど……。」 「渡したよ!うそだと思ったらランドセルの中を探してごらんよ!」 今まで幾度となくウソをついてきた勇樹の言葉をまったく信用できない私たちはランドセルをのぞきましたが、勇樹の言葉通り中に通知表は入っていませんでした。 しかし私は、それらしいものを受け取っていません。     
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加