契約の鮮紅

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契約の鮮紅

 俺は朝が苦手だ。どんなに爽やかな朝だろうがなんだろうが、身体が怠いまま目を覚ます。  だが今朝は布団をはねのけて起きた。心臓がどくどく鳴っている。  夢のなかで俺は戦っていた。その興奮で醒めてしまったのだ。  ユウヤは隣の布団でまだ寝ている。  アイツを連れていつもの駄菓子屋──タミヤのばあさんのところに泊まったんだった。  俺は部屋を出て階段を降りて洗面所に行く。何度か泊まっているので、勝手を知っている。  顔を洗って、足音に振り向くと、タミヤのばあさんが横切るところだった。 「おはようショウ」 「おはよう」  ばあさんはまたひと回り小さくなった気がする。幼い頃から駄菓子屋には通っていた。ばあさんは俺のなかでは最初からばあさんだ。いつもの赤と黒の千鳥格子の半纏を着ているばあさんだ。 「朝ご飯の支度をするから手伝って」  言われて付いていく。台所はすぐそこだ。  簡単な調理を手伝った。 「あの子を起こしてきな」  俺は頷く。 「それで食べ終わったらあの子を──」  ばあさんは命じた。 「元の場所に返してきな」 「犬や猫じゃないんだからさ」  青白いままのユウヤは布団の上に座って言った。 「君のおばあさんは白状だね」 「別に俺のばあさんじゃない」 「なんでそんなこと言ったんだろうね」 「……住む世界がちがうからだろ」
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